うちグル

SPECIAL 特集

mamaid Special interview

I Love Ehon 2020

掲載号:mamaid 2020年1月20日号

2020年絵本特集は、スペシャルインタビューをお届けします。多くの人気絵本を出版し、アートディレクションなど幅広い分野で活躍するアーティストユニットtuperatupera。
夫婦であり、2人のお子さんのパパとママでもある亀山達矢さんと中川敦子さんに、
作品が生まれる過程や創作活動への思い、子育てへの向き合い方などをお聞きしました。

「面白そう」がユニット活動のきっかけ。 得意分野を分担

お二人の作品は、紙や布を切り貼りして制作したものが多いですよね。ハサミやのり、カッターで作るやり方は、どんなふうに始まったのですか。

(中川)私は大学でテキスタイルを学び、卒業後オリジナルの布雑貨を作っていました。絵本作家になりたいとは思っていなかったのですが、亀山と組んで作品を発表していく中でいくつかの出会いがあり、「絵本を作ってみよう!」と、はじめて作った絵本が「木がずらり」です。布雑貨を作っていた頃はパッチワークやアップリケをやっていたので、絵本を作る際にも自然と紙を切ったり貼ったりするコラージュの技法になりました。
(亀山)tupera tuperaの活動自体、「こうするぞ」という決まったものがあって、始まったのではないんですね。2人でやろうというのも、流れの中で「面白そうだね」ってなんとなく始まって、進んできた感じかな。
(中川)2人で創作する時、コラージュは作業しやすいですね。一つの制作物を2人で見て話し合いながら、「ここはこうしよっか」、「目の表情はこうしたほうがいいかな」という感じで、画面に貼り付けるまでは作り替えることもできますし。

「木がずらり」ブロンズ新社/1,400円

tupera tuperaの絵本デビュー作。開くとジャバラ状になっており、四季折々の美しい木が描かれている。読んでも飾っても楽しい。

一冊一冊が「実験」常に新しいことにチャレンジ

絵本は、文章も絵も担当されていますが、2人の役割分担はあるのですか?

(亀山)得意不得意は、それぞれあると思います。僕は、顔を作るのを担当することが多いかな。絵本のアイディアは僕がひらめく確率が高いかもしれない。そのひらめきを相手に投げかけて、キャッチボールしながら作っていく感じですね。
(中川)背景とキャラクターで分けることもあれば、ページ毎に作りたい方が作ることもあります。それぞれの持ち味が出せるように、作品によって分担する部分も度合いも自然に変わります。どちらかがすべてをやるということはなくて、必ず2人が何らか作業しています。

「パンダ銭湯」絵本館/1,300円

パンダの親子が銭湯でひとっ風呂。すると、隠されたパンダの秘密が明らかに…?! 読んだら、あなたも「チャッ!」とサングラスをかけたくなっちゃうかも。

 

たくさんの作品を発表してこられました。作品にどんな思いを込めていますか。

(亀山)僕たちは、作家は編集者に絵を渡したら終わり、とはまったく思っていなくて。届けるところまでしっかり見届けたい。だから例えば、「パンダ銭湯」の表紙に貼ってあるシールの角度まで確認して指定します。本当は、書店でもこういう風に積んでほしいな、と思っている。自分たちの作品を最後の最後まで面倒見たいと思っています。
(中川)絵本は、3世代にわたって 年以上読む可能性があります。自分たちが気持ちのいいものづくりをして、それを届けたいなと思っています。

わが子の成長とともに広がった活動の幅

小6と小1のふたりのお子さんがいらっしゃいます。子どもの存在は、創作活動にどんな影響を与えていますか。仕事と子育てとの両立はどうしていますか。

(中川)子どもがいると、時間的にはピシッとなりますよね。朝学校に送り出してから、夕方帰宅するまでの間がメインの仕事時間、前後は生活の時間。よっぽどじゃないと、夜中に作業したりすることはないです。仕事場と家が一緒なので、完全に分かれてはいないし、食卓で仕事の話をしたりもしますけどね。
(亀山)僕たち、夜長く起きていられないんですよ。昔から、 時くらいになると眠くなっちゃう。作家って夜中に作業する人も多いですけど、僕らは昼間、子どもがいない時間帯に集中します。
(中川)上の子は、私たちの最初のヒット作「かおノート」が出来た2008年に生まれました。それからだんだんお仕事が増えていって、仕事の経過を娘が見守ってくれている感じです。最近は、編集者と打合せしていると隣にて、「そこはこう変えたほうがいいんじゃない?」なんて言ってきたりして(笑)、面白いなぁと思います。

自由に楽しめるのが絵本読み手がみんな演出家

お二人は、ファンを前に作品の読み聞かせをする「絵本ライブ」という活動も各地でしています。親が子に読み聞かせをするときに、本の選び方のコツや読み方のポイントはあるのでしょうか。

(亀山)重く考えず、好きなものを選んで好きなように読んでいいんじゃないかな。どの絵本を子どもが気に入るかは、成長の過程でも変わるし、以前は興味を示さなかったものを時間が経つとすごく気に入ったりすることもある。いろんな本をどんどん試してみてほしいです。
(中川)読み方って、スピードも自由、後ろから読んだっていいかも。子どもって、読む前にどんどんめくっちゃうことありますよね。ページを勢いよくめくることをテーマにして、「かぜビューン」という本が生まれたこともあります。読み手が演出家であって、パパやママが俳優にもなれる! 絵本を読む時間を自由に楽しんでくださいね。

「かぜビューン」学研プラス/950円

たんぽぽやソフトクリーム、風が吹いたらどうなるの…?! 勢いよくページをめくって遊ぶ、楽しい仕掛け絵本。

自分のお子さんに、読み聞かせはしましたか?どんな絵本を読んでいましたか。

(中川)授乳をやめたときに、「子どもの寝かしつけはどうやったらいいんだろう…」と思って。授乳の代わりの寝かしつけの手段として読み聞かせをしていました。子どもが眠くなるように、なるべくつまらそうに読んで(笑)。寝るまで、静かにゆったりとね。
(亀山)自分たちの本は全然読み聞かせはしなかったですね。もちろん子どもたちは勝手に読んでくれていたけど、僕たちの絵本ライブを見ていたし、面と向かって読むのはなんだか気恥ずかしくて。それにtupera tuperaの本は瞬発的に笑ったりするから、寝かしつけには向かない!

新作はお互いを知るツール100の質問で相手のことを知ろう

9月には新作「しつもんブック100」が発売になりました。どんな作品ですか?

(亀山)たとえば、毎日一緒にいる親子でも、好きな色を知らなかったり、身近にいる人のことでも、意外と知らないことが多いですよね。初めてあった人ならなおさら。本には質問が100個掲載されています。好きなページを開いて、その質問に答えてもらうことで相手のいろんな面を知ることができる。そんな本になりました。
(中川)亀山はイベントなどで各地に出かけることが多くて。スタッフに囲まれると、みんなはお互い知っているのに自分だけ知らない人に囲まれる…という状況が多いんですって。
(亀山)自己紹介やったとしても、俺だけやってもおもしろくないから、お互い知らないことを言いましょうよ、質問タイム!みたいになるんですね。好きな食べ物と血液型だけでも、人となりが分かったりしますよね。初めての人とも身近な人とも、楽しくお互い自己紹介するのにも使えますよ!質問は人間関係の基本ですから。

「しつもんブック100」青山出版/1,300円

家族、友人、初めて会った人。みんなに聞いてみたい100の質問。大人も子どもも遊べるコミュニケーションブックです。

作品で人を楽しませたい周りと一緒に楽しんで

絵本だけでなく、幅広い活動をしているtupera tupera。活動を通して伝えたいメッセージがあれば、お願いします。

(亀山)「人と楽しむ」のに、tupera tuperaの作品を使ってほしい。僕らは、作ったもので人を楽しませるのが好きなんです。本来絵本を作った人間は、人前で絵本読まなくていいと思うんです。でも、人が読むことで作品は完成するし、面白いから絵本ライブもやっている。僕らも部屋に閉じこもって作っているタイプではないので、人と出会っていろいろなものづくりを楽しんでいるし、人によって幅を広げてもらっている。個人で楽しむのもいいんだけど、周りにいろんな人がいるじゃないですか。大人も子どもも、いろんな人がいるからtupera tuperaの作品を通して、その個性をお互いに楽しんでほしいですね。
PROFILE
upera tupera(ツペラツペラ)亀山達矢さん、中川敦子さんの2人組ユニット。絵本やイラストをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術など様々な分野で幅広く活動している。NHK Eテレ「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当している。

最新の情報とは異なる場合がありますので、ご確認の上、お出かけ下さい。

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