掲載号:ヨミウリウェイ 2020年2月10日号
ちらちら雪が舞う中で満面の笑みで撮影に応じてくれたのは、「月刊山形ZERO☆23」でもお馴染みの伊藤博美さん。特に、2014年から始まった連載「ひとっぷろばんざい」で紹介した温泉は、すでに67箇所。山形県には全国屈指の酸性度の蔵王温泉をはじめ、県内35市町村に個性的な温泉が存在します。温泉ソムリエでもある博美さんは 温泉王国 山形の魅力を伝えようと、冊子やラジオ、講演などを通して発信を続けています。
温泉に興味を持つようになったのは10年ほど前。パーソナリティーとして担当したラジオ番組がきっかけでした。30~40代をメインターゲットにしたこの番組は、各地の日帰り温泉を紹介していくというもの。テレビなら映し出せる臨場感をラジオでどう表現していくか。その課題を解決するために博美さんがとった行動は、入浴しながらのインタビューでした。「最初は洋服を着たまま、お風呂に入っている人たちにマイクを向けていたんです。でも、なんか不自然な感じがして。それなら自分も入ってしまおうと」。博美さんは持ち前の行動力を発揮し、マイクを持って湯船の中へ。この思い切った 裸のインタビュー は、意外にもインタビュイー(取材を受ける側)との距離を縮める好結果をもたらしてくれました。ラジオから流れてくるのはエコーのかかった話し声と、カポーンという桶を置く情緒あふれる音。3年間続いた番組では、このインタビュースタイルで県内110箇所もの温泉を回りました。温泉の奥深さを知るたびに、多様性にも驚かされた博美さんは、その後、温泉ソムリエの資格を取得したのです。
「湯船に浸かりながら頭の上にタオルをのせる場合、内湯の時は蒸気が籠るので冷たいタオル、露天風呂は外気が冷たいので暖かいタオルが正解です。また、入浴の前後に水を飲むことも大切。旅館の部屋にお菓子が置いてあるのも、甘いものを食べて血糖値を上げることで、入浴した際に低血糖状態にならないようにするため。所作の一つ一つに意味があるんですよ」と、博美さんの口から飛び出す話は目から鱗の連続です。何よりも大事なのは自分に合う泉質の見分け方を知ること。「体調や体質を見極めることができれば、湯あたりなどで具合が悪くなることもなくなると思います。温泉が 悪者 になるのはかわいそうだから」。博美さんの温泉愛は止まりません。昨年は、初めて蔵王温泉街の街歩きツアーのガイドにも挑戦。これからも、温泉をテーマにした様々な活動を通して地域の活性化につないでいきたいと、夢はさらに広がります。
成分の組み合わせの妙で浴感が変わってくる。
溶存物質は「温泉の濃さ」数値が高いほど濃い温泉。総量1000mgを超えると泉質が表記され、それ以下の場合は「単純温泉」と総称される。10000mg以上の場合は長湯に注意。源泉が近かったり、硫黄成分が入っていると数値以上に濃さを感じる。
温泉はタオル一本で楽しめる山形のアクティビティ。「温パス」持って ひとっぷろしに出かけてみませんか。
今年1月に蔵王温泉にオープンした日本で初めての“温泉コーデショップ”高湯堂の前で。 | 店内には湯桶や手ぬぐい、はんてんなど、温泉が楽しくなる可愛いグッズがいっぱい。 |
現在発売中の「やまがた日帰り温泉パスポートVol.5」や「月刊山形ZERO☆23」は温泉好き必携。 | 蔵王温泉街の街歩きツアーの時のひとこま。 |
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