山形市緑町の古き鉄筋コンクリートアパートが生まれ変わるらしい！？

直して住もうよ　living design イイドレ　Vol.1

　山形市には、蔵や洋風建築といった昔ながらの面影を残す建物がたくさん。中でも県民におなじみの文翔館や教育資料館（旧山形師範学校）がある界隈は、ふらりと歩きたくなるようなノスタルジックな場所です。そこに、緑に囲まれ、昭和を感じるような建物があります。今回はその「緑町アパート」とそのテナントをご紹介します。

「同潤会アパートのような場所にしたい」　趣のある新しいスポットとして改修

「緑町アパート」は東京オリンピックの年に建設された、６つの住居とテナント３区画からなる建物。このアパートがこの夏、未来を見据えてリフォームをすることになりました。

改修のデザインを行うのはリビングデザインEEdore（イイドレ）。代表の田久保さんは、「ここを同潤会アパートのような場所にしたい」と話します。イメージしているのは青山アパートメント。大正から昭和初期当時の建物ですが、その当時の先進的な設計がレトロな趣を生み出し、表参道ヒルズに生まれ変わる直前まで多くのショップが開かれていたといいます。

現在「緑町アパート」のテナントでは、2店舗が店を構えています。改修によりこの場所の雰囲気が変わり、人の流れができるのではないでしょうか。

▲ 現在のテナントの雰囲気

▲ 右からテナントに入居しているあだち家のオーナー安達さんとイイドレの田久保さん、大家の原さん

こだわりのつまった部屋の使い方はあなたしだい

▲ 303号室の雰囲気、あざやかな赤の壁がおしゃれ

　また、３階の303号室はレンタルルームとして貸し出しをしています。もともとは田久保さんが居住していた部屋だそうですが、不要になった古家具をリメイクしたテーブルや棚、鮮やかに塗り直した壁など見所がいっぱい。その他見えないところにも、内窓を入れて二重窓にしたり、湿気に強い漆喰を壁に塗ったりと古い建物でも快適に生活するための工夫もされているそうです。これらはすべて田久保さんのデザインによるもの。

　二級建築士の資格を持つ彼女は、設計において「古くてもいいもの、思い入れのあるものが簡単に壊されてしまうのはもったいない」を大事にされています。伝統的な日本建築で建てられた民家でもマンションでも、オーナー様には「大切な想い入れ」があるもの。それらに真摯に向き合う姿勢が、この部屋に込められていると感じます。

改修後の姿が楽しみ

今回のリフォームでは外壁と廊下・扉などの共有部分が全面塗り替えられます。ウィーンの集合住宅が思い浮ばれるような個性的なデザインを念頭に置きながらも、緑の木々に囲まれ、教育資料館を目の前にするこの場所の雰囲気とが共生するようなデザインを目指しているとのことです。外壁工事は7月15日からスタートしており、9月上旬に完了予定。文教地区の注目スポットになりそうです。

※このリフォームの模様は、今回を含め3回でお届けいたします。完成をお楽しみに。