教えて！ 産休・育休からの復職後の働き方

どうする？復職後のモヤモヤ

掲載号：mamaid 2020年4月20日号

• 子育てmamaid

子育てがひと段落し、いざ職場へ復帰。でも、こんな気持ちを抱えていませんか？

そこで、自身も2人の子育て中に育休・復職を経験した奥野明子先生（甲南大学経営学部 教授）に、ママが抱える復職後のモヤモヤの仕組みと、その解決方法をアドバイスしていただきました。

 

ママ　職場に復帰してから、周りに気を使ってばかりで毎日モヤモヤしています。

奥野　そうですよね。復職後は『マミートラック』といって、育休前より単調な業務しか与えられなかったり、責任ある仕事ができなくなったり、仕事にやりがいがなくなるケースが問題となっています。復職後は特に、自分がどう周りに評価されているか気になりませんか？

ママ　はい。短時間勤務を希望して復職したので、同僚に迷惑をかけているのではないか、評価が下がるのではないかと内心ビクビクしています。

奥野　まずママに知って欲しいのは、短時間勤務であることを理由として賃金を削減することは、男女雇用機会均等法で禁止されていること。ここはまず安心してくださいね。ただ、短時間勤務であるために、仕事の成果が低くなることによる賃金削減は違法とはいえません。

ママ　うーん、ちょっと分かりにくいです。

奥野　そこで、一度確認してもらいたいのが、自分が勤務している会社の『人事評価制度』です。

ママ　人事評価制度ですか？ 正直あまり気にしたことがないですね…。

奥野　人事評価は、①担当する仕事をどれだけ遂行したか、仕事の成果 ②職務遂行に必要な能力を本人がどれだけ有しているか（知識、スキル） ③仕事に対してどのような態度をとっているか（意欲、姿勢）を、一定の人事労務管理が定めた基準で評価する仕組み。つまり、自分自身の評価を客観的に明らかにするために会社が作る制度です。

多くの会社が、上司と一緒に設定した仕事上の目標達成度で評価を実施しています。 会社が重視する基準(業績、能力)を把握することも大切です。

ママ　私の会社にもありますか？

奥野　会社によっては制度がない場合もあります。人事評価は会社のマネンジメント能力を知るいい機会です。逆を言えば、自分の評価についての説明があいまいであったり、成果ではなく労働時間でしか評価してくれないような会社であれば、自分のキャリアのために転職を考えてもいいかもしれませんね。

ママ　確かに、評価基準がはっきりして、自分も納得のいくものだったらモチベーションも上がりそうです。

奥野　また復職後は短時間勤務を選択せざるを得ないママも多いもの。その場合は、ノーワーク・ノーペイ原則（基本給の減給）の仕組みを作り、組織全体にはっきりと示してもらうといいですね

ママ　そうなんです！勤務形態がわからないから、なんとなく遠慮したり不公平感が漂ってモヤモヤしてしまうのかもしれません。復職者でない人と自分の立場の違いが分かれば、お互い納得し余計なストレスが減りそうです。

奥野　そのためにも、自分が出来ること、出来ないこと、やりたいことを日頃から上司や同僚に伝えておくことも大切ですよ。

ママ　そうはいっても、今は本当に目の前のことに精いっぱいで…

奥野　確かに、『今は何もできない』と思ってしまいますよね。でも、これから1年後、3年後、5年後はいかがですか？ 環境も変化し、今よりもずっと出来ることが増えていると思います。『今はできないけれど、今後やりたいこと、やれること』と長期的なキャリアに目を向けていけば、今目の前にある仕事が意味のあるものに変わっていきますよ。

ママ　なんとなくモヤモヤしていましたが、会社の評価のしくみや特徴を理解し、これからの働き方を考えるいいきっかけになりました。

奥野　じっと耐えているだけでは何も変わりません。これからは働き方もどんどん新しく変化していく時代です。自分らしい働き方ができるよう応援しています。

 

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