烏帽子山公園の木々を借景にコーヒーとナポリタンを

田園｜心地いい名喫茶

掲載号：ZERO★23 2022年10月27日号

愛しの喫茶店 ZERO☆23 コーヒー南陽市

一歩足を踏み入れると、
そこかしこに歴史や思い出が刻まれた調度品や家具が並び、
ゆるやかな時間が流れる名喫茶。
それぞれのお店の個性と世界観にどっぷりと浸りながら、
一杯のコーヒーを召し上がれ。

田園
since 1950

桜が満開の時期はとくに人気。玄関ドアと2階にある、手づくりの木枠が風景を切り取っています。秋色の風景も美しい。

1950（昭和25）年、初代・佐藤コヨさんが創業したときは
牛乳やパン類などを提供するミルクホールだったという、この店。

道向かいには映画館があり、その帰り客や、赤湯の共同浴場に浸かった客などが立ち寄っていました。コーヒーの味を決めたのは2代目佐藤英男さん。当時、苦みの強かったコーヒーを、まろやかな味になるよう、モカ、コロンビア、ブラジルなどの豆を独自にブレンドし、誰もが飲みやすいものに。ナポリタンは英男さんがフェリーニの映画『道』の飯ごうでつくったパスタを観て、始めたのだとか。ゆでた太麺を熟成させる、昔の喫茶店のつくり方で、ケチャップがよく絡み、独特のコクがあります。
店の裏手は桜の名所・烏帽子山公園。2010（平成22）年のリニューアルで、ガラス窓越しに緑が見えるようになりました。秋色に染まる店内で、懐かしい昭和の味を楽しみませんか。


ハイカラさんの目玉焼きのせナポリタン（950円）。創業当時（昭和25年）の銀盆を復刻して提供中。	店名が入ったカップ。ミルク用、デミタス用、紅茶用、スープ用などさまざまな種類が。


店内には初代・佐藤コヨさんの写真が飾られています。当時コーヒーは35円。アイスキャンデーの製造・卸し・販売も行っていました。	コーヒーまたは紅茶が付く、本日のケーキセット（800円）。濃厚でさっぱりしたケーキはコーヒーとベストマッチ。