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どう付きあう?スマホと目の成長

けんこうnavi

掲載号:mamaid 2020年8月15日号

どんなに忙しくても自分のカラダについて、そして家族の健康に関心を持っておくのは大切です。
このページは医療や健康に関することをその道の専門家にわかりやすく教えてもらうコーナー。
女性として、母として知っておきたい基礎知識をおさえておきましょう。

 

TOPIC1 子どもの目は、日々成長しています

私たちの生活に欠かせないアイテムになりつつあるスマホ。大人でも子どもでも使いすぎは目に何かしらの影響があるのはもちろんですが、乳幼児期は特に注意が必要です。
まず意識していただきたいのは、生後から小学校低学年の頃までは子どもの目の発達にとって、とても大切な時期だということ。生後まもなくは光が見えている程度の状態で、視力は0.01程度と言われています。モノを見て刺激を受けることで視力が発達し、1歳で0.2~0.3、2歳で0.6、3歳で1.0程度まで発達すると考えられています。また、立体視といってモノの奥行きを理解できるようになるのが3~4ヶ月頃、左右の目を使ってバランスよくモノを見ることが可能になるのが1歳頃で、6歳頃までに完成します。また、視力だけではなく、両眼を使って近くのものや遠くのものにピントを合わせたり、見たいものに視線を向ける眼球運動の能力が育つのも乳幼児時期なのです。

 

TOPIC2 早期発見が大切です

子どもは、自分の見え方か正常かどうかを訴えることができないため、視力が悪いことに気がついてあげることは難しいもの。言葉でのコミュニケーションが可能になる3歳児眼科健診がひとつの目安になりますが、その前に「おもちゃに手を伸ばそうとしない」「動くモノを目で追いかけたりしない」「片目を隠した時に嫌がる」などの様子に気がついたら、一度小児科や眼科にご相談ください。
3歳児眼科健診では、一次検査(家庭での視力検査とアンケート)、二次検査(一次検査で0.5の視力が確認できない場合に、保健センターで再検査を実施)が行われ、両眼ともに視力が順調に育っていることを確かめます。そこで治療が必要な目の病気が疑われる場合には、眼科での精密検査を受けていただきます。眼科での精密検査を行うと遠視や乱視、近視(屈折異常)の有無がわかり、原因に対する治療が行われます。目の発達段階にある乳幼児期は、早期発見が何より大切なのです。

 

TOPIC3 スマホ内斜視をご存知ですか?

2016年以降、「デジタルデバイスの過剰使用が契機と考えられる急性内斜視の増加」が報告されています。急性内斜視とは、「生後6ヶ月以降に急性に発症する内斜視で調節性要因の関与がない共同性内斜視」のことです。急に発症し、保護者が眼位の異常に気づき受診することが多い斜視です(イラスト参照)。ただし、因果関係ははっきりと証明されておらず、現在調査を開始している段階です。
スマホや携帯ゲーム機は、視距離が近く一点を凝視する傾向があり、暗い場所や移動中、横になって見るなど両方の眼で見ることに慣れていない乳幼児期は単眼視になりやすくなります。そのため、より影響を受けやすい可能性があると言えます。
急性内斜視に気づいたら、中枢神経系異常の可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

 

TOPIC4 目の成長のために大切なこと

近視の発症には、遺伝的要因と環境要因の両方が関与すると考えられています。遺伝も大きな要因の一つですが、小さい頃から近くのモノをじっと見るような状態が続くことは近視の進行を速めることになります。スマホや携帯ゲーム機には、日常生活では見ることのない画像も多く、大人が想像している以上に刺激が強いもの。両眼でモノを見ることに慣れていない時期ですので、30分使用したら15分目を休ませるなどの習慣を、大人も一緒に身につけていきましょう。
また、乳幼児期の外遊びは心身の健康的な発達を促すと共に、両目を使って近くのモノや遠くのモノをバランスよく見ることにもつながり、目の色々な機能を育てるためにも重要といえます。
スマホが目の成長に与える影響をきちんと理解し、子どもたちに適切に与えていきましょう。

 

アドバイスいただいたのは…

医療法人社団泰道会
佐藤眼科医院銅町クリニック
神尾 聡美先生

住/山形市銅町1-6-35
電/023-664-1310
http://www.taidoukai.com/


最新の情報とは異なる場合がありますので、ご確認の上、お出かけ下さい。

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