SPECIAL 特集

「山形のそば」が進化し続けるために

【コラム】山形のそば文化を支える老舗製粉所へ

掲載号:ZERO☆23 2023年10月27日号

鈴木製粉所

明治41(1908)年に創業、業界を知り尽くす製粉所だからこそできる取り組みを取材しました。


興味深い話が次から次へと。根っからの理系男子、鈴木文明社長。

サイエンスの視点から山形のそばを守っていく

 職人の勘と経験がものを言うそば業界。では、そばの“おいしさ”の定義とはなんでしょう。五感も、食べる環境もその時の体調も人それぞれ。社長の鈴木文明さんは理系的アプローチで、そばの“おいしさ”を数値化する取り組みを行っています。そこには自身の苦い経験がありました。結婚を機に山形へ移住。それまで触れたことのないそばの世界に入ってまもなく、会社を引き継ぐことになります。後を託されたものの、これまで感覚に頼っていて、品質やおいしさ、お客さんの満足度を測る物差しのないことに将来に対する危機感を覚えます。生産者の思いを理解し、そば店や製麺所の希望を的確に受け止めるためにも「見える化」が必要だと考えた鈴木さんは、県工業技術センターや慶應義塾大学先端生命科学研究所の協力を得て、食感、香り、色、成分変化といった要素を細かく分析することにしました。その結果、そば粉の特性を生かし、カスタマイズすることで何通りもの組み合わせが可能に。

加えて、鈴木製粉所の強みである石臼製粉機、ロール製粉機、胴搗製粉機など9種類の機械を使うことで、超微粉から粗挽きまで少量のオーダーに対応も。「そばの可能性をとことん引き出したい。そのためには経験と勘の世界に、サイエンスとテクノロジーをどう融合させるかが鍵になります」と鈴木さん。自然環境に左右される農作物、常に同じ味をつくることは難しくとも、客観性をもって再現していくサイエンスの術が加われば安定した味を供給でき、業界全体の底上げにつながります。例えば代替わりをしても、お店の味を守っていく一助になるかもしれません。研究は現在進行形。ノンアレルゲンそばの開発など、そば関係者と研究者たちが一緒になり、未来へつなぐそばの研究を続けています。また、「やまがた女子蕎麦」のイベントなど1年を通してそばを楽しむ仕掛けも好評。
 職人をリスペクトしつつ新しい視点も加えながら、「山形のそば」を盛り上げていこうと情熱を注ぐ、鈴木製粉所の一挙一動に注目です。


工場の床には調湿、防虫効果に優れた桐材を使用するなど、味への追求が見えないところにも。石臼製粉機では、6種類の粉を挽くことができます。


1つの石臼で製粉する量は、毎分1213回転の超低速回転で1時間に45kg


挽いた粉は自動的にあんどん型のふるいへかけられます。


工場兼そばの資料館として建てられた「石臼館」では、「天保そばの実」なども展示され、そばの歴史を知ることができます。

鈴木製粉所
住/山形市滑川字谷地411 
電/023-629-2517
営/9:00~17:00
休/土・日曜
駐/有


最新の情報とは異なる場合がありますので、ご確認の上、お出かけ下さい。

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